Webマーケティング業界の闇をお話しします。広告代理店にWebマーケティングを依頼すると、3つの理由で確実に失敗します。
『Webマーケティングを始めようと考えているけれども、どこに依頼すれば良いのでしょうか...。』そういった疑問をもたれる方も多いと思いますが、結論から言うと「広告代理店には依頼しない」が正解です。
実際に私も新卒でWebマーケティング業界に入り、大手の広告代理店で5年以上働いていました。どのような依頼を頂くかやどのようにWebマーケティングを実行していくか、また依頼された際の手数料マージンなど、具体的な運用や施策実行までの方針は一通りすべて理解しています。
それでは、なぜ「Webマーケティングを広告代理店に頼むと失敗するか」の3つの理由と、2023年に取るべき具体的な代替案を説明していきたいと思います。
本記事でわかること
- Webマーケティングを広告代理店に依頼すると失敗する3つの理由【某大手広告代理店で勤務した経験談あり】
- 広告代理店に依頼しないでWebマーケティングを実施する方法【代替案を示します】
早速みていきましょう。
Webマーケティングを広告代理店に依頼すると失敗する3つの理由
結論から言うと、Webマーケティングを広告代理店に依頼すると、以下の理由で確実に失敗します。
- 費用対効果が悪い
- PDCAサイクルが遅い
- ノウハウがたまらない
いきなりだとイメージしづらいかと思いますので、それぞれ説明します。
理由1. 圧倒的に費用対効果が悪い
Webマーケティングを広告代理店に依頼すると失敗する、一番の理由が「圧倒的に費用対効果が悪い」という理由です。
まずは、Webマーケティングを広告代理店に頼んだ際にかかる手数料という考え方を説明します。
下図のように、Webマーケティング予算として広告費を仮に100万円用意していた場合、広告代理店に頼むと約10〜20%、多いところだと30%も手数料(マージンともいいます)を取られてしまいます。
Google広告などのWeb広告の世界では、このような手数料ビジネスが主流です。
しかし、この広告費にかかる手数料という考え方が「広告業界の闇」とも言われていますよね。
本来であれば広告予算として使える大事なお金を、運用を依頼するだけでこれだけの%割合で中抜きされてしまうというのが実態です。
悪いところだと手数料(マージン)の割合を当初話していたものよりも多く設定して請求しているところもあるくらいです。
私も実際に目の当たりにしてしまいました...。
広告代理店に依頼して、もし仮に広告から100万円の売り上げが出た場合の費用対効果で、広告代理店に依頼しなかった場合は以下の計算ができます。
【広告代理店に依頼した場合】
広告の費用対効果 = 100万円 ÷ [100万円 - 20万円(手数料)] = 1.25
【広告代理店に依頼しなかった場合】
1.25(広告の費用対効果)× 100万円 = 125万円(本来あったはずの売り上げ)
単純計算で厳密には状況が異なりますが、100万円の売り上げがあった時の費用対効果で広告代理店に依頼しなかった場合は、125万円も売り上げの可能性があった。つまり25万円もの機会損失があったことになります。
ひと月だけ運用を依頼するのであればまだしも、広告代理店に依頼する時には大体3ヶ月〜6ヶ月、多い時には1年ほどの期間で依頼することがほとんどですので、それだけ機会損失が蓄積していくと考えるとどれだけ損をしていくのかイメージできるのではないでしょうか。
理由2. PDCAサイクルの回転が遅い
Webマーケティングを広告代理店に依頼すると失敗する、二つ目の理由が「PDCAサイクルの回転が遅くなる」という理由です。
PDCAサイクルとは
P(Plan:計画)、D(Do:実行)、C(Check:評価)、A(Act:改善)の順に、それぞれの工程をサイクルとしてくり返し回していくこと
「PDCAサイクルの回転が遅くなる」という要因として、「Webマーケティング施策で重要なポイントに気づかない」ということと、「広告代理店Webマーケティング担当者の問題」の2つがあり、それぞれ見ていきます。
Webマーケティング施策で重要なポイント
- Webサイト上での課題仮説を設定すること
- Webサイトへ集客するための計画
- Web広告などプロモーション施策実行
- 施策実行後の分析や検証
- 改善施策のプランニングと推進
- フレームワークを使ったWeb戦略全体の策定
- 上記PDCAサイクル実行のためのチームビルディングや運営
上記のように、Webマーケティングの施策を実施していく中で、改善点が見つかったり、分析を深めていったり、新たな施策や打ち手を考えていくタイミングが必ず訪れます。しかし、そのようなタイミングで重要なポイントや決定的な改善点に気づくのが遅くなる、または全く気づかないという問題があるのです。
このようなタイミングは、Webマーケティングを実際に自社内で企画〜運営まで自走しない限り、課題が認識されずに気づくのが遅くなり、どんどん改善施策への一手が先延ばしになってしまい、結果PDCAサイクルの回転が遅くなります。
広告代理店のWebマーケティング担当者の抱える問題
広告代理店のWebマーケティング担当者の多くは、広告や施策を実施した際の数値的なレポーティングしかしてくれず、それも週に一回や月に一回の報告のみ、尚且つルーティン作業のような内容しか作らないのが実態です。
それには原因があり、広告代理店に勤めるWebマーケティング担当者の多くは、一人当たり複数のクライアントや案件を抱えているという問題にあります。
一人が一社のクライアントに対して、Webマーケティング施策を一気通貫して対応することが理想ですが、実際はそうはいきません。実情として、一人が数社、時には数十社のお客さんを持っていて、またそれぞれのWebマーケティングの施策や運用の段階によって担当者を分けているケースも多いのです。
私も実際に、報告書に使うパーツを、それぞれの担当者からかき集めてレポーティングしていたことはしょっちゅうありました。
このように、手数料ビジネスをしている広告代理店では、業界構造として仕方ないのですが多くのクライアントを抱えていく必要があり、Web担当者は一社のお客様に時間を十分にさけないというのが現状なのです。
だからこそ、広告代理店のWeb担当者とのコミュニケーションロスが多く発生したり、指示や実行のコントロールが効かず、結果PDCAサイクルの回転が遅くなります。
中には、広告主にアカウント管理画面を見せないなど、信頼できないアカウント担当者もいるため注意が必要です。
理由3. 自社内にノウハウがたまらない」
Webマーケティングを広告代理店に依頼すると失敗する、最後の理由が「自社内にノウハウがたまらない」という理由で、これは長期的に響く重要な問題です。
どのようなポイントで自社内にノウハウがたまらないのか、具体的に説明していきます。
Webサイトを運営していく中で、「計画→実行→評価→改善」というPDCAサイクルを回していくのですが、その過程で売り上げに結びつくような重要な『気付き』があるのです。
「りんごの通販」をしている、あるWebサイトを独力で運営しているWebマーケターを例にイメージしてみましょう。
りんごの通販サイト運営の流れ
【P(計画)】
Web担当者:まずは、「りんご 通販」で広告を出してみよう!
(気付き:「りんご 通販」よりも「りんご 通販 激安」や「りんご 通販 美味しい」とかの方がいいのかな...。)
【D(実行)】
Web担当者:Googleで広告を出してみよう!
(気付き:Google以外に広告はどれがいいかな、Yahoo!とかにも出せるみたいだけど...。)
【C(評価)】
Web担当者:「りんご 通販」で売り上げが出た!
(気付き:「りんご 通販」でも売れているけれど、それよりも「りんご 通販 安い」で売り上げが伸びている...。)
【A(改善)】
Web担当者:来週からは「りんご 通販 安い」で広告を出そう!
(気付き:キーワードを変更したり、広告文を変更していろいろ試してみよう、そのあと来月振り返ってみてみよう...。)
このような気付きは、実際にWebサイトを運営して、マーケティング施策を考えている人だからこそ得られるものです。
広告代理店のWebマーケティング担当者などに依頼した場合は、上記のような「気付き」や「疑問」、「試行錯誤」といったものが、担当者とのやりとりでしかわからなくなってしまいます。
自分からWebマーケティング担当者へ疑問を投げかけたり、目標数値を出してもらうようなことが理想ですが、Webマーケティングの視点や知識がなければそのような「疑問」や「試行」のイメージも湧いてこないですよね。
広告代理店に依頼しないでWebマーケティングを実施する方法【代替案を示します】
ここまででWebマーケティングは広告代理店に依頼しない方が良いとお伝えしてきました。
しかしそれでは、Webマーケティングを実施するにはどうすれば良いのかわからないと思いますので、代替案を示したいと思います。
代替案は以下の3つあります。
- 知識やノウハウを自分で学ぶ
- Webマーケ担当者に常駐してもらう
- インハウスで行う
それぞれ見ていきましょう。
代替案1. 知識やノウハウを自分で学ぶ
Webマーケティングはまず自分で学ぶということが一番重要です。
独学でWebマーケティングに関する知識を取り入れることができれば、実際にWebサイトを運営してマーケティング施策を実施することができます。またそれによってWebサイトの運用ノウハウを身に付けることができると一石二鳥でメリットがありますね。
私もWebマーケターとして働き始めるにあたって、本を何冊も読みながら、実践する。これをくり返しました。
学ぶにあたって初心者向けのオススメの入門書籍を下の記事でご紹介しています。今から学び始めたい方はどうぞ。
代替案2. Webマーケ担当者に常駐してもらう
Webマーケティング担当者に常駐してもらうという選択肢もあります。
今はWebマーケティングに強いフリーランスの方や業務委託の方など、業界経験者は多くいるため、そのような方に社内に週一回などで常駐してもらったり、顧問という形でアドバイスをもらったりすることもとても良いです。
まるで社員のように会社の一員としてジョインしてもらうことで、他の社員にWebマーケティングの知見をインプットしたり、顧問からアドバイスをもらって自分達でWebマーケティングを実施したりすることができます。
フリーランスや業務委託の方の中には、とても優秀な人も多くいますよ
あくまでも外部のWebマーケティング担当者と近い環境で、「社内にノウハウを蓄積する」ためという主体的な目的で使うという感覚がとても重要ですね。
代替案3. インハウス(自社内)で行う
広告代理店に頼らずにWebマーケティングを実施するための、最後の代替案にして一番オススメの方法です。
Webマーケティングを担当する社員を決めて教育する、または経験のあるWeb担当者を採用するなどして、インハウス(自社内)でWebマーケティングを実施していく体制を構築するというものです。
インハウスでWebマーケティングを実施することができれば、社内でそのノウハウが蓄積されていき、新しいWebマーケティングチームを作ったり、新入社員へWebマーケティングの知見を教育したりするチームビルディングも可能になってきます。
Webサイトの運営やWebマーケティングは、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必須となっている今、長期的に必要なものなので、その運用体制も中長期的な視点で構築していく必要があるのです。
このように、初めはインハウスでWebマーケティングを実施していこうとすると初期コストが一時的にかかるなどの問題もありますが、長期的な投資回収と考えると早めにインハウス構築を行うことをオススメします。
まとめ:Webマーケティングは広告代理店に任せず、インハウスで運営するべき
Webマーケティングを広告代理店に依頼すると絶対に失敗する3つの理由として、1「費用対効果が悪い」、2「PDCAサイクルが遅い」、3「ノウハウがたまらない」ということを説明しました。
また、その代わりとしての代替案も3つ、1「知識やノウハウを自分で学ぶ」、2「Webマーケ担当者に常駐してもらう」、3「インハウスで行う」と示しました。
デジタルシフトが進む中、企業にとってWebマーケティングの実施と体制構築は必須の要件になってきていると感じています。
Webマーケティングの取っ掛かりとして、まずは広告代理店に一任するというように安直に決めてしまう前に、一度社内でのインハウスによるWebマーケティング強化にトライしてみることを強くオススメします!
Webマーケティングの未来予測
Webマーケティングの仕事はなくなるのですか?Webマーケティングの将来性と未来を予測しました。Webマーケが今後どういう面白い世界に変わっていくか、一緒に考えてみませんか?