Webマーケティングを進めていく中で、何から始めれば良いか分からない...。このような企業のWeb担当者の方は多いと思います。実際にWebマーケティングを自社で進めていくためには、Web戦略を立てた上でステップを踏んで実施していくことが重要です。
Webマーケティングの施策を進める上では、全体を通じて進めるべき正しい流れがあります。しかし、その道筋を理解して進めていかないと、計画や企画を立てたけれども実行まで上手く推進することができなかったということになってしまいます。
今回は、2023年現在までWebコンサルティングをしてきている経験から、実際にWebマーケティングを導入するにあたってのWeb戦略とそのステップを解説していきます。
それでは、Web戦略について見ていきましょう。
代理店との付き合い方
今代理店にマーケティングをお願いしている企業担当の方は、Webマーケティングを広告代理店に頼むと失敗する3つの理由という記事を参考に、リレーションを見直しましょう。
Web戦略とは?(定義と策定するべき理由)
まずは、Web戦略とはどのようなことなのか、その定義をみていきましょう。
Web戦略の定義
Web戦略とは、Webサイトを主軸にしたインターネットを活用して、自社の持つ経営資源を何に使っていくのかを決めることです。
つまり簡単にいうと、「Webをどう自社経営に活かしていくかを決めること」ですので、全体的なWebを使った経営改革の枠組みをまずは策定することであるとわかります。そしてここで重要なのが、Web戦略を策定するためにはその全体像をまずは理解した上で、各ステップごとに自社ができることを見極め、できない場合にはどのようにしてその施策を実施していけば良いかという戦術まで落とし込んでいくことです。
まずはWeb戦略を策定した後、実際の施策やツール導入などの具体的な戦術を決めていくことが理想的です。
Webマーケティングを戦略的に行うべき理由
Web戦略をはじめ、Webマーケティングを社内で一から推進していくことは実際のところ難しく、計画や長期的な視野が必要であるからです。
Web戦略を立て、推進するのには大きな流れがあるとご説明しました。しかし、現状の自社内の人的リソース・コストリソースでその全てのステップを実施していくことは困難であることから、人員計画や予算配分などの策定をしていくことから始めていきます。そして、長期的にどのようなターゲットにアプローチしてファン化していくかというようなマーケティングの視点を持ってWeb戦略を立てていくことが重要です。
また、Web戦略はWebだけの戦略に関わらず、競合分析や市場調査も行っていくため、自社の経営方針や経営戦略にも関わります。このようにWeb戦略策定は、全社的な方針策定にもつながっているとも言えるでしょう。
参考記事:まだ前提知識が浅い方は、Webマーケティングとは何かという基礎的なことも理解しておきましょう。
Web戦略の立て方を3ステップで解説
それでは、Web戦略の立て方を3ステップで解説していきます。
以下の図のように、「集客」→「Webサイト運用」→「再来訪施策」の順で進めていきます。
初見のWeb用語ばかりだと思いますので、それぞれ見ていきましょう。
1. Web集客
Web戦略の1つ目のステップは、Web集客を行うことです。Web集客とは、文字通りWeb上でお客様(Web上のユーザー)を自社Webサイト上へ呼び込むことを言います。
例えば、オフラインの店舗として八百屋さんをイメージしてみると、お客さんをお店に呼び込むためにチラシを配ったり、お店の前に食材の手書きポスターを置いたり、街頭で声がけしたり、さまざまな集客手段が考えらますよね。そのようなことをWeb上でも同じように行うと考えると、様々な集客手法を用いてお客さんを自社のサイトに誘導することが必要なのです。
お客さんを自社のWebサイトに集客するためには、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索されたときに上の方に表示されるような戦略(この戦略をSEOといいます)を取ったり、サイトを見ているときによく出てくるWeb広告を出したり、SNSで宣伝したり、といった様々なWeb集客手法で行うことが一般的です。
2. Webサイトを運用する
Web戦略の2つ目のステップは、Webサイトをより良いものに運用することです。先程の八百屋さんの例だと、せっかく集客してお店に来てくれたお客様も、良いお店でなかったり期待した商品がなければ、何も買わずに帰ってしまいますよね。
Web上でも同じように、Webで心地よくサイトやコンテンツを見てもらうためのMAツールを用いたWeb接客や、コンテンツを良いものにしていくコンテンツマーケティングなどの手法を用いて、Webサイトを訪れてくれたお客様(ユーザー)にとって良いものにしていく運用が重要なのです。
3. 再来訪施策を講じる
Web戦略の最後のステップが、Webサイトへ再来訪してもらえるような施策を講じることです。八百屋さんの例では、一度来てくれたお客様に良い体験をしてもらい、また来たいと思う様なインセンティブ設計をしたりプロモーションを行なったりすることが大切ですよね。
それがWeb上では、リピート施策としてWeb広告を出したり、SNSで再アプローチをしたりなどの手法でリピート顧客を作っていくことができるのです。
このようなWeb戦略をもとにWebマーケティング施策を実施していき、戦略から戦術に落とし込んでいきます。
Web戦略を立てる上での最良のフレームワーク3つ
ここまでで、Web戦略を立てることを3ステップで説明してきました。そのWeb戦略を実際に検討するために使える、最良のフレームワークを3つご紹介していきたいと思います。
その3つのフレームワークは、「カスタマージャーニーマップ」「STPマーケティングモデル」「ロジックツリー」です。
ご存知のものもあるかと思いますが、それぞれ見ていきましょう。
1. カスタマージャーニーマップ
Web戦略の策定で使えるフレームワークの1つ目は「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーを図示する目的は、ある一人のユーザーを想定したとき、その人がどのような行動を取ってそのときにどんな感情だったかなど、実際に購買に至るまでのプロセス全体を分析する手法のことです。
下図のように、実際のカスタマージャーニーマップの例を見るのが一番早いですが、ある人が、「商品を知って」「どの様に検討して」「実際に使ってみて」「どんな体験をしたのか」といった行動と、それに伴った感情までをマッピングしていきます。
このようなある顧客の一連の行動と感情をマッピングして表します。そうすることで、自社のサービスや商材はどのタイミングでどう体験してもらうことが理想なのか、ということを思考する助けになります。
2. STPマーケティングモデル
STPマーケティングモデルとは、S「セグメンテーション(Segmentation)」、T「ターゲティング(Targeting)」、P「ポジショニング(Positioning)」の頭文字を取ったマーケティングのフレームワークです。
自社の製品やサービスを顧客に届けるときに考えるもので、簡単にいうと、自社の商品やサービスを「どこにいる、どんな人に、どのように選んでもらうか」を整理するモデルです。つまり、商品やサービスを届けるべき場所とその中にいるターゲットとなる顧客を見極め、その顧客にどうやったら選んでもらえるのかを分析するための手法です。
どんなに良い商品やサービスだと思っていても、それを価値のあるものとして受け入れる顧客がいなかったり、競合などとの差別化要素がなかったりすると、選んでもらうことはできません。STPマーケティングモデルは、自社の今後の経営戦略を考える上でも使える有用なフレームワークです。
3. ロジックツリー
以下のようなロジックツリーという構造因数分解のフレームワークを一度は見たことがあるのではないでしょうか。
Web戦略でも同様に、売り上げを増やすためにWebでどのような戦略的アプローチができるのかを下のような因数分解したブロックごとに当てはめて考えることができます。例えば、新規顧客開拓にはSNSでのプロモーションを行っていこうというアイデア、そして既存顧客にはWeb広告のリピート購入用の広告を出す、ということを考えられます。
このように、各構造の中にWebマーケティングの手法を落とし込んでいくのです。
上図のようなロジックツリーはWebに関わらずに使えるフレームワークですが、自社の目的として売り上げを伸ばすということはどの企業でも同じであると思います。このような「売り上げ」という目標から、バックキャストマーケティング思考で商品購入までのWeb戦略を描いていく、というアプローチに有用なフレームワークになっています。
まとめ:Web戦略を立ててWebマーケティングの失敗を防ぐ
ご紹介した3つのフレームワークを用いることで、Web戦略を立て、Webマーケティングを推進するための道標を描くことができます。Webマーケティングでは、事前にどのような市場に対して、どのようなターゲットに、どんなアプローチをしていくことが効率的なのか、というように最適解を探すことが重要になっています。
多くの企業がWebマーケティングで集客をしようと進めているだけ、自社の戦略を明確にしないとコストだけ無駄にしてしまいかねません。この失敗しないために、という考え方でぜひWeb戦略を構築していくことをおすすめします。
最後に、Web戦略を策定することは確かに難しいことではありますが、外注や委託でいきなり丸投げしてしまうことをおすすめしていません。Webマーケティングは難しい領域だからこそこのような安易な判断になってしまわないよう、Webマーケティングを広告代理店に頼んで後悔しないようにしましょう。
しかし、自分で独学して知識を得たいという方は、Webマーケティングの書籍3選でWebマーケティングを一から戦略的に学べるように厳選しています。
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