ソーシャルメディアには中毒性があり、一度のめり込んでしまうと中々やめられないという人は多いでしょう。しかし結局のところ、SNSはやめた方が良いのでしょうか?やめた結果起こることは、ほとんどの場合で良い変化になります。
コロナの影響もあって、2023年現在でも実際にSNS断ちした結果、寂しさを感じたり、逆に幸せになったという意見がありました。ソーシャルメディアを全てやめた人が感じたメリットとデメリットは何だったのでしょうか。
本記事では、SNSをやめたことで起こりうる10の効果を紹介していきます。
SNSをやめるメリットとは?
ソーシャルメディアをやることには賛否両論あります。SNSをやることには、良い面と悪い面の両面があるからです。
SNSをやるべきであると考える理由は、ソーシャルネットワークで多くの人と繋がり、コミュニケーションを取ることの楽しさがあります。もしSNS断ちをしてやめてしまうと暇になるのではないかという不安や、孤独を感じて寂しいと思うようなこともあるでしょう。
一方でやめるべき理由は、SNSに費やしている時間や精神的な意味合いでデメリットが多いからです。ソーシャルメディアに使っている時間を他のもっと生産的なことに投じたり、「SNS疲れ」といったストレスを解消してすっきりと休息したりすることができます。
実際に例を挙げると、SNSをやめた芸能人は池田エライザさんやナイナイの岡村さんなど。彼らはSNS断ちについてコメントしています。
池田エライザがTwitterの更新を終了することを発表。今後は、「まったり自分のペースで投稿するのがなんとなく今の自分に合う気がする」
岡村隆史は、「怖いのでやめます。」という投稿を最後に、アカウント開設からわずか1時間半でやめてしまいました。
女子SPA!「SNSを去っていった芸能人たち」
そして、両方の賛否両論を比較した上でもSNSをやめた方が良いと言える理由は、SNSをやめることでのメリットが色々な側面で多いからです。実際に、SNSをやめたことで得られる良い変化を、具体的な研究結果とともに紹介していきます。
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SNS断ちした結果起こる10の効果
1. 多くの自由な時間を手に入れられる
あなたがSNSに費やしている時間をはっきりと意識したことがありますか?ほとんどの人にとって、ソーシャルメディアアプリに没頭している時間は、一日のうちのかなり多くの時間を占めています。
総務省が令和2年(2020年)に発表した最新のデータによると、SNSに使っている時間は全世代平均で平日に約1.2時間、休日は1.4時間という結果がありました。これは月に36時間、年間で432時間ほどを消費していることを意味しています。そして年齢が若ければ若いほど、SNSに浸る時間は長い傾向があるため、10代〜30代の人はもっと長い時間を無駄にしていると言えるでしょう。これが、SNSをやらない人がSNSをしない大きな理由の一つです。
もしもSNSをやめてこの時間を解放することができたら、もっと自由な時間が生まれ、より心にゆとりのある生活ができるようになります。ソーシャルメディアに奪われる時間は、自分が考えている以上に長く、そして年々蓄積されていくものなのです。人生の時間を浪費したくなければ、あまりSNSを見ないほうがいいでしょう。
2. 仕事の生産性とスピードが上がる
スマホを片手に何か作業をしている時は、本当に物事に集中することはできていません。心理学者達の調査によると、マルチタスクをすると、実際に生産性を40%も低下させるという研究結果があります。
また、海外の263人の中学生・高校生・大学生を対象にしたアンケート結果では、学習中にFacebookなどのソーシャルアプリに触れた人は、そうしなかった人よりもGPA(学業の成績)が低い結果が出ていました。
もしも仕事や勉強の成果を上げたいのであれば、SNSを身の周りから断ってみることをおすすめします。初めは慣れないかもしれませんが、いいねやコメントを貰えない不安と引き換えに、本当に注力すべき仕事へのパフォーマンスにすぐに良い変化が現れるでしょう。
3. 精神的なストレスを和らげる
対面でのコミュニケーションよりもソーシャルメディアを優先すると、うつ病などの気分障害を引き起こすリスクが高くなると、海外のメンタルヘルスに関する機関が発表しています。
上記の他の様々なメディアで、SNSは心の健康に悪い影響を及ぼす可能性があると言われてきました。インターネットの繋がりでは他者との比較で不安を感じやすく、自己肯定感を下げる原因になると考えられているからです。多くの人がSNSをやめたら楽になったと口を揃えて言うのは、こういった理由からでしょう。
ソーシャル上のネットワークよりも、リアルな対人関係を重視したほうが、孤独な気持ちや退屈を和らげることが期待できます。FacebookやTwitterから離れて、現実的な社会性を持つことが精神面に良い結果をもたらす可能性が高いのです。
4. 自尊心が高くなる(自分に自信を感じるようになる)
スタンフォード大学の研究者たちは、「アヒル症候群」という心の作用を命名付けました。これは、アヒルが池の上をスイスイと優雅に泳いでいるように見えて、実は水面下で必死に足を動かしている様を表しています。
生徒たちがFacebookやInstagramなどのソーシャルメディア上で投稿していた内容は、華麗な日常を完璧に表現したものでした。しかし、実際にはスマホのスクリーン画面の裏では、心の不安を感じていたのを誰にも打ち明けることができなかったのです。
このように、他の人のSNS上の投稿を頻繁に見ることで、自分自身が完璧ではないと思い込むようになり、自己不信に陥りがちです。高校3年生のサーシャと友人は、ソーシャルメディアでの過度な露出によって、自分自身の見方に影響を与えると自覚しているものの、SNSを止めることはできないとも言っていました。こういった自尊心を無駄に傷つけないようにするために、SNSをやめた方が良いと言えるでしょう。
5. 睡眠時間が伸び、より良質な睡眠がとれる
海外の12,000人のティーン・エイジャーを対象にした睡眠に関する調査では、1日に5時間以上SNSなどのアプリを利用しているユーザーは、1日3時間未満のユーザーよりも、夜遅い深夜の時間以降に眠る可能性が70%も高いという結果が出ました。
これはソーシャルメディアと睡眠時間の短さが関連していることを示す深刻な問題で、睡眠障害を引き起こす原因になるリスクがあることを示唆しています。睡眠不足は家族や親しい友人との関わりや、若者の幸福度に悪い影響を与える可能性があります。
就寝前の少なくとも1時間前にはソーシャルネットワークから離脱し、体内時計を正常に戻すことが重要であると言われています。もしも睡眠に何かしらの不調がある人は、できるだけSNSは見ないほうがいいでしょう。
6. 対面でのコミュニケーション能力が高まる
高知工科大学の研究では、SNSと若者のコミュニケーション能力の関係があることが明らかになりました。SNSを利用する頻度が高い若者は、他者との関わりに苦手意識を持つことが分かっています。
SNSをよく使う人は、自己開示や傷つくことを避ける、「自己隠蔽」の傾向が強いということです。このような意識を持つ大学生は、人とのフェイス・トゥー・フェイスの会話を避けるような特徴がありました。
ソーシャルメディアを利用して、対面での会話を重視することは、人間関係を良質なものにします。逆に言えば、SNSを使うと世界中の人と繋がることができますが、もっと身近な大切な人達との関係性を弱める恐れがあるということです。
7. 座る時間が短くなり、活動時間が増える
オーストラリアでは、成人の70%が1日に8時間以上座っていて、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSの使用が、座っている時間の長さと関係があるという研究結果がでました。
また、座っている時間が長すぎることは、喫煙に次いで健康に悪いと言われています。長時間座っていると、その分だけ身体活動が減ってしまうからです。
本来年を取ればとるほど活動時間が減ることは想像できることですが、現代のスマホ普及やSNS利用時間の増加によって、子どもたちや若者でさえ運動の機会が減っています。ソーシャルメディアに使う時間を減らすことで、椅子やベッドから立ち上がって動き回る時間を増やすことができるでしょう。
8. 注意力が増し、一つのことに集中できる
ニューハンプシャー州に住むブライアン氏(39歳)は、2010年から始めたソーシャルメディアが無意味なものであると気づき、SNSを最近やめました。「5分前にツイートしたことを覚えていますか?実際には誰も覚えていないんです。」
ニューヨークに住むデビッド氏も、SNSほど気を散らすものはないと気づき、65週間ソーシャルメディアを断って、初めてそのメリットを実感しました。携帯を何気なく見る時間が減り、もっと目の前のお客さんとの関係や仕事に専念することができるようになったのです。「何の理由もなしにスマホを手に取った時に、実は探すものなんて何もなかったと気づくんです。」
スマホを手放して、FacebookやTwitterの投稿から目を離せば、もっと自分が集中すべきことに目を向けられます。もしもあなたが何か一つのことにフォーカスできないと思うのであれば、一度ソーシャルネットワークから断絶することをおすすめします。
9. 意思決定スキルを向上させる
SNSと意思決定の関係性を調査した研究で、SNSを過度に使っている人は、ギャンブル性の高い意思決定を下す傾向があるという結果がわかりました。ソーシャルメディアの過剰な使用をしている人は、中毒行動に近い性質を持っているということです。
ソーシャルメディアからの情報はありふれていますが、ほとんどの人の信念や価値観はそういったメディアサイトから構成されています。FacebookやTwitterなどのSNSアプリで流れているニュースが真実であると思うことで、自分が考える習慣が少なくなってきているのです。
SNSから離れれば、冷静な判断力が増し、たった一つの情報源から何かを選択してしまうようなことを避けられるようになるでしょう。正しい意思決定を行うために、もっと複数の側面から物事を考えることができるようになります。
10. SNSをやめることで幸せになれる
米国の研究で、Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルネットワークサービスを使用する頻度を10日間増やしたところ、幸福度が低下するという結果が出ました。
具体的には、SNSを利用すればするほど他の人と自分を比べるようになり、またオフラインでの社会的なコミュニケーションが減ることで、感覚的に不幸であると感じるようになるのです。逆に言えば、SNSをしない人は比較的幸せを感じやすいと言われています。
ソーシャルメディアを使って発信する内容は、失業したことや夫婦の離婚といった話題よりも、一流企業に就職したことや幸せな結婚といったアピールばかりです。自分よりも幸せそうな姿が切り取られたSNSのタイムラインを見ているうちに、人々は自分の幸福度が不十分であると勘違いするようになります。
もしもSNSから生まれる否定的な感情を避けることができれば、無意味に自分の人生の満足度を下げずに済むのです。よくSNSを見ない人のほうが幸せであると言われますが、それは実際にSNSをやめたら幸せを感じることができた人が多いからでしょう。