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SNSの20のメリットとデメリット|ソーシャルメディアとコミュニケーションの関係性

SNSのメリットとデメリット

スマートフォンが普及してきたのと同時に、FacebookやTwitter、Instagram、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も人々の生活に当たり前に広がっていきました。今では日本の67.6%がスマホを保有していますが、2011年にはたった14.6%しか持っていなかったのに驚くことでしょう。

SNSをやっている人は実際にはどれくらいいるのでしょうか?SNSを使っている人の数で見た時に、令和2年(2020年)には全年代で全体の42%以上がSNSを使っていて、10代〜20代では約65%もの人がSNSをやっていることが分かっています。

SNSを使うことで、普段親しんでいる友人あるいは全くの他人とコミュニケーションを取ることができます。やり取りできる内容は文字やテキストだけでなく、画像や動画、シェアしたいコンテンツなど多岐に渡るため、直接的に言葉を交わすよりも複雑な情報を伝えられるのが特徴です。

そして私達が気になるのは、ソーシャルメディアが良いものか悪いものかという判断基準です。SNSを賛成する人は、オンラインでの繋がりが、オフラインと合わさって良質なものになっていくと言います。逆に反対する人は、ネット上のみの会話が生身のコミュニケーションを阻害し、精神面でも悪影響があると考えます。

本記事では、SNSのメリットとデメリットの両面について、2023年現在でも賛否両論あるさまざま意見を取り入れながらそれらを深く考えていきましょう。

SNSのメリット

1. SNSを通じて日本中の人と繋がることができる

ソーシャルネットワークを使うことで最も分かりやすいメリットは、場所を選ばずに他の人とつながることができることです。日本のみならず、言語が通じれば世界中の人とコミュニケーションを取ることができるでしょう。

30代の38.5%がSNSで今まで面識のなかった人と連絡をしたことがあり、20代に関しては52.2%、つまり2人に1人は今まで全く知らなかった人とのやり取りをしていました。インターネットさえあれば、FacebookやTwitterなどを通じて誰かを「フレンド」や「フォロー」するだけで、簡単にその人とメッセージを送り合うことができるのです。

2. SNSで簡単にかつ即座にコミュニケーションができる

コロナが蔓延するまでは、人々は外に出て対面で話をすることが多かったのですが、今ではオンラインで会話をすることは当たり前になりました。インターネットに接続して、Zoomやビデオアプリを立ち上げるだけで、だれでも気軽に相手の声を聞くことができます。LINEやMessengerといったSNSツールでも同様に、ビデオ通話ですぐにやり取りを始めることができるのです。

SNSを使っている人の中で1日にSNSを2回以上開く人は、全体の77.1%もいるという調査結果がありました。もし休日で誰にも会えないという日でも、SNSさえあれば一日に何回も会話したと同じくらいの高頻度でコミュニケーションが取れるということです。

3. 最新の情報をSNSからリアルタイムで入手できる

朝7時に郵便ポストに入った新聞を受け取り、昨日のニュースを読む時代は終わりました。これからは、SNSから流れてくるフレッシュな情報を数秒単位でキャッチアップしていくことができます。新鮮で正確な情報を最も必要としているメディア記者の実に78.5%が、最新のニュースをソーシャルメディアから入手していることを確認しました。

一流のジャーナリストでさえ、リアルでのインタビューや取材などよりも、ソーシャルネットワークを情報源としているということです。ドナルド・トランプ大統領も、今でこそ永久凍結されたTwitterをやっていた理由は、記者会見やプレスリリースなどのどの発信よりも伝達が早いからだと述べていました。

4. ソーシャルメディアで個人のブランディングができる

ブランディングとは、自分がターゲットとしている顧客やユーザーに対して、独自の価値を認めてもらうようにすることを言います。ブランドで最もイメージしやすいのは企業のブランドです。例えば最も価値のあるブランドを築いている企業トップ10に入っている、AppleやAmazon、グーグル、マクドナルドなどがまさに業界を代表するブランドを持っています。

そして、それは個人でも同じような影響力を身に付けることができ、ソーシャルの繋がりによって個人のブランド力を強化することができるのです。具体的に、Instagramでフォロワーが100人いた場合に投稿をすると、その投稿は12.5%である12人に見られ(リーチ)、さらにいいねやコメント(エンゲージメント)などは5%である5人にしてもらえるというデータがあります。SNSがあれば、それだけの拡散力を手に入れられるということです。

5. SNSを使うと生徒の成績が向上する

InstagramやTwitterにある、受験や試験勉強用のSNSアカウント「勉強垢」というものがあるのをご存知でしたか?この勉強垢では、自身の学習進捗を記録したり、他に参加している人に自分の勉強の達成報告をするために使われます。そして、Twitterの勉強垢は高校一年生の36%、また高校二年生も34%が使っていると言います。ツイート内容は勉強科目や時間、自分の志望校やテストの点数の発表など、極めて真面目な内容ばかり。

SNSは単なる情報収集のツールとしてだけでなく、若年層にとっての学習コミュニティになっているということです。事例として、海外の教室でソーシャルメディアを採り入れる試験的なプログラムを導入した結果、全校生徒の成績が50%以上も向上し、怠慢な欠席が減ったのです。SNSをやると頭が良くなる時代になっていくのかもしれません。

6. 内向的な方やシャイな人のソーシャルなつながりを生む

TwitterやInstagramを使っている女子高生の中で、自分を内向的だと思っている人は全体の50%以上もいました。さらに、投稿数が多ければ多いほど、自分が他のSNS利用者に比べて内向的だと感じているようです。特に恥ずかしがり屋でシャイな子は、対面でのコミュニケーションが苦手な傾向があります。

SNSごとの利用者の性格分類
TesTee Lab.「女子高生のSNS別キャラ属性」

そして、社会的に成熟していない段階では、こういったSNSを通じた匿名性のある媒体が好まれるということです。ソーシャルメディアは、バーチャルなプラットフォーム上で友達を作り、社会から孤立してしまう若者や、孤独を感じやすい高齢者までも助ける場所になります。

7. SNS上での就職活動やリクルーティングに役立つ

近年、SNSを使った求職の仕組みである、ソーシャルリクルーティングに取り組む企業が増えてきました。企業の中で、Facebook自社アカウントを持っている企業は全体の80%以上にも及び、ソーシャルメディア運用によって自社の評判アップや問い合わせ増加にもつながったと回答しています。

従来の社員募集の方法としては、求人専用のポータルサイトが一般的に使われていました。しかし、今では特に若年層がSNSを職探しに活用しているため、企業もそれに応じてソーシャルネットワーク経由での採用活動を行うことが大切になります。ソーシャルリクルーティングの事例として、三井住友カードがInstagramを活用した「内定者リレー」という内定した学生の紹介をキャンペーンとして打ち出しました。就活中にSNSで情報交換をする人は多いため、企業はSNSを通じて適切なターゲットにアプローチすることができるでしょう。

8. SNSが法的・政治的に良い変化をもたらす

アメリカの連邦、州などの法執行に関係する人の5人に4人(80%)が、ソーシャルメディアを活用して犯罪捜査をしていることが分かりました。日本においても、埼玉県や高知県、広島県など、各地方自治体がソーシャルメディア公式アカウントを開設して、防犯に関する情報発信をしています。犯罪抑止や、犯罪の早期解決のために、SNSは近年積極的に使われるようになっています。

政治的な活用の例では、2013年にネット選挙が解禁された以降、公明党がSNSを政治的に活用しています。FacebookやLINEアカウントから有権者に対して活発的にアピールしているのです。また、SNSと選挙結果の関係性を調査した論文では、TwitterやFacebookでいいねやフォロワー数が対立候補よりも多い候補者は、その70~80%が当選して勝利したことが分かりました。

さらに言えば、SNSを使った投稿が、選挙における投票率に貢献した可能性が示唆されました。政治への好影響は、候補者にとって、また投票者にとってもあると考えられます。

9. SNSは企業としての新たな事業ビジネス機会となる

企業や個人事業主にとって、SNSは強力なマーケティングツールになります。事業を拡大する上で、新規顧客を獲得し、既存顧客に価値を感じ続けてもらうことが重要です。ソーシャルメディアを活用すれば、自社サイトへの誘引や宣伝だけでなく、Webでの集客やSNSを使ったWeb広告も可能になります。

実際に、ソーシャルネットワーク上から事業収益の大半を得て、SNSなしでは存続が難しいほどの起業家や大きな企業がたくさんあります。例えば化粧品業界のリーディングカンパニーである資生堂は、2023年までに広告費の90%以上を、急速にデジタルマーケティングに移していくと発表しました。コロナの影響もありデジタルトランスフォーメーション(DX)が急務になっている今、SNSを活用したWeb戦略の導入は今後さらに進んでいくでしょう。

10. 趣味や娯楽としての楽しみとしてSNSを使う

SNSをやっている人が続けるモチベーションは、ソーシャルメディア自体を使うことの楽しさがあるということです。自分の興味や日々の出来事を短い日記ブログのように発信したり、他の人が何をしているのかを覗きに行くことができます。これは必ずしもSNSから何か自分へのメリットを感じたいという思いからではなく、趣味や娯楽としてソーシャルネットワークに参加している人が多いということです。

SNSに費やす時間は、1日あたり平均で1時間〜1.4時間ほどです。テレビ離れが進む中、スマホで気軽に楽しめるソーシャルメディアは、ポストコロナのニューノーマルな生活にも間違いなく組み込まれるものになるでしょう。

SNSのデメリット

1. 信頼できない間違った情報もSNS上で拡散される

総務省がネットユーザーに調査したアンケートでは、全体の72%が「新型コロナウィルス感染症についての間違った情報や誤解を招くような情報を見たことがある」と回答しました。Twitterやブログ、まとめサイトなどでは正しい情報を記載していないケースや信頼性に欠ける情報リソースからのデータなどが多く散見されます。

このように、真実でない情報を鵜呑みにして、後から偽の情報であったと気づくケースはよくあり、特に10代〜20代はSNSで知ることが多いのです。若い世代は情報を判断する能力が未熟なため、ソーシャルメディアから流れてくるこういった真偽が定かでない情報に振り回される危険性があるということです。

2. ソーシャルメディアで時間を無駄にする

スマートフォンを使っている利用時の意識調査では、スマホを使っている時に、つい時間を忘れて夢中になってしまい、時間を無駄にしたと思うと回答した人は、全体の3割もいました。全年代でSNSを使っている人は全体の44%以上もいたため、スマホ利用者の多くがSNSを使い、時間を浪費してしまったと感じているのでしょう。

ソーシャルメディアに浸らずに、他の自己研鑽やスキルアップといったものに時間を使えば、もっと生産的なことができるかもしれません。SNSをやらない人のしない理由で最も挙げられることは、この時間意識の問題でもあるのです。

3. SNS利用は精神的なストレスに影響する

今までの研究で、オンライン上のソーシャル・ネットワーキングは、メンタルヘルスに悪影響があると言われてきました。実際にPMC(米国国立衛生研究所)の発表したデータでは、Facebookを使うことでユーザーがうつ病になる傾向があると指摘しました。その理由は、SNSを使うことで他者と比較する機会が増え、自尊心や自己肯定感を失い、それがうつ病を引き起こす要因になる可能性があると考えられているからです。

また、TwitterやFacebook、LINEなどでやりとりをしている中で、コメントやいいねなどを気にしすぎるあまり心労に繋がる「SNS疲れが社会問題にもなっています。同じソーシャルメディア上には、学校や職場などの自分のコミュニティにいる人が多く参加しています。そのような人との話題や流行に取り残される不安から、こういった心の不健康に繋がるのです。

4. SNSから個人情報やプライバシーが流出する危険

SNSのプロフィール欄に自分の名前や学校名などを記載したあと、自分が写った写真をSNSに投稿した結果、その画像が別のサイト上で電話番号などと一緒に転載されてしまった、というSNSのトラブルが過去に事例としてあります。ソーシャルメディア上での発信は不特定多数に閲覧されるので、そういったリスクを孕んでいます。

また子供を持つ親は、自分の子供がSNSを利用していることに対して、全体の7割が危険だと感じていました。特に個人情報や顔写真のアップロードに関しては、35.7%が不安に感じています。その背景は、近年ソーシャルメディアが普及しているにも関わらず、情報管理の教育がまだまだ行き届いていないのが現状としてあるからです。

5. SNSのやり過ぎで学力が低下する

SNSのメリットで説明した学業への好影響は、適切な頻度でのソーシャルメディア利用のみに当てはまる話です。日本の大学生のSNS利用と学業成績との関連性を調べた論文では、LINEやInstagram、Twitter、YouTubeを利用する時間がながければ長いほど、GPA成績が悪くなる傾向にあると明らかになりました

SNSが学習に及ぼす影響
キャリア教育ラボ「スマホ依存(SNS)が学習に及ぼす影響」

さらに、上図のように家庭でのスマートフォン利用時間と成績との関係を調べたデータがあります。スマホ利用時間が一日に1時間未満の生徒は平均75点なのに対して、一日に4時間以上スマホを使う生徒は平均58点にまで下がったという結果があります。

長時間のスマホ使用とSNS利用は生徒の偏差値に悪影響を及ぼしています。勉強する学生たちがソーシャルメディアを使って意識を高め合えるのは、そういった目的で使っている場合のみであるようです。

6. SNSに浸る人は社会的に孤立する

SNSを使う人が社会的なつながりをどう感じているか調査したアンケートで、1日の中でSNSを1〜2時間利用している人の87%が「孤独を感じる」と回答しました。これが意味していることは、ソーシャル上のネットワークは孤独感を解消することにはつながらず、むしろ社会的な孤立を感じる人が多くなるという示唆です。

精神的な安心感を得られるのは、相談できる相手や信頼できるパートナーが隣にいることです。SNSで赤の他人とつながりを持っていても、その人との生身のコミュニケーションは生まれません。誰かが結婚した、大きな家を立てた、子供ができた、そのような理想的な姿と自分を照らし合わせて、SNSを使ううちに不幸になるとも言われています。

7. SNSでの性的なコンテンツやセクスティング(sexting)の問題

セクスティング(sex・texting)とは、性的なメッセージや画像、動画などのコンテンツをやり取りすることです。米国の調査によると、自分のヌードやセミヌードの映像を送ったことがあるかという質問に、13~19歳の男子の18%、女子では22%が「経験がある」と回答しました。成人していない子どもたちが、こういった危険な行為をしています

こういった問題は、SNS上でのコンテンツ制限の甘さが原因です。全てのソーシャルメディアでは、性的なコンテンツを厳しく制限するように管理されています。しかし、完全な制御はできないため、10代のティーン・エイジャーが意図せずポルノに触れてしまわないように、保護者は厳密に監視しておく必要があるのです。

8. ソーシャルメディア上でいじめや嫌がらせを受ける

文部科学省が発表した調査で、SNSでのネットいじめが過去最多の1万7924件にも上ったことが明らかになりました。ソーシャルネットワークという、繋がりの中だけでの閉鎖的な空間で、誰か特定の人に対する嫌がらせは横行しています。ソーシャルメディアには、特別な人だけを集めた非公開のグループ機能があるため、そのグループから意図的に離反させられるなどのいじめがあります。

こういったトラブルはネット上で行われるため、先生や両親が気づかない水面下で起こっていることが最大の問題です。問題が表面化しないまま事態が悪化し、気がついた頃には生徒が心に深い傷を負ったり、最悪の場合自殺に至るようなケースもあります。ソーシャルの秘匿性から、今後ますますネットでの誹謗中傷などは増えていくでしょう。

9. SNSハッキングなどサイバーセキュリティ上の危険がある

ソーシャルメディア上にあるサイトは、ウイルスソフトやフィッシング詐欺などの危険に常に晒されています。Facebookは過去に、サイバー攻撃を受けたことで、Facebook上の5,000万人のユーザー情報が流出する事件が起きました。SNSに登録しているユーザー数は数億単位にも上るので、一度乗っ取られると一気に拡散してしまいます。

年々どのソーシャルメディアも、2段階認証システムなどでセキュリティを強化する対策を講じていますが、脆弱性がゼロになることはほとんどありえないでしょう。多くのユーザーがいるSNS上にあるデータは物理的には管理できないものであるため、第三者にアクセスされて悪用される危険性は必ずあるということです。

10. SNS上に永久に残るデジタルタトゥーの問題

デジタルタトゥーとは、インターネット上に記録されたメッセージや画像は、半永久的にネット上に残り続けるという問題です。最も有名なのは、交際が破綻した後に、交際中のわいせつな動画を流出させる「リベンジポルノ」の事件です。リベンジポルノ法が制定された後に、2019年には年間で1479件もの相談があり、年々件数は増え続けています。

今後起こりうるトラブルは、YouTubeやTikTokなどの動画メディアでのコンテンツ管理に関するものです。実際に、人気YouTuberが過去に投稿した動画が事実と異なっていたために、数億円単位での返金騒動に発展したケースも有りました。自分がアップロードしたコンテンツは、数年の間に知らないうちに拡散し、ネット上に入れ墨(タトゥー)のように残っていくのです。

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